18歳未満に深夜残業をお願いする場合労基署は指摘しますか?
アルバイトの高校生(18歳未満)に深夜残業をお願いしようと思いますが、労基署から指摘を受けることはあるでしょうか?
年少者(18歳未満)に関しては、年少者の健康と福祉のために、成人とは異なる規制がされており、原則、時間外労働や深夜労働をさせることはできないので、発覚した場合には、労基署から指導が入ります。
年少者雇用の違反例
高校生等の満18歳未満の年少者を雇用する場合には、年少者の健康及び福祉の観点から、成人を雇用する場合と異なる法規制がされています。
違反例としては下表のようなケースが考えられます。
年少者雇用の違反例
〇深夜まで営業している飲食店で午後10時を過ぎて年少者を働かせた。
〇年少者に代わって親権者と労働契約を締結し、直接親権者に賃金を支払っている。
〇満18歳未満の年少者を雇用していたが、その年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けていない。
年少者雇用の規制
成人と異なる年少者の雇用に関する規制については、下表のとおりです。
年少者雇用の違反例
年齢 | 保護規定 |
未成年者(満20歳未満) | 〇未成年者の労働契約締結の保護(労基法58条)
〇未成年者の賃金請求権(労基法59条) |
年少者(満18歳未満) | 〇年齢証明書等の備え付け(労基法57条)
〇労働時間・休日の制限(労基法60条) 〇深夜業の制限(労基法61条) 〇危険有害業務の就労制限(労基法62条) 〇坑内労働の禁止(労基法63条) 〇帰郷旅費(労基法64条) |
児童(満15歳に達した日以降最初の3月31日が終了するまでの者) | 原則使用禁止 |
年齢証明書等の備え付け(労基法57条)
未成年者の雇用主は、満18歳未満の未成年者を雇用する場合には、その年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けなければなりません。
未成年者の労働契約締結、賃金請求の保護(労基法58条・59条)
未成年者の労働契約の締結は、親権者や後見人が締結することはできず、未成年者本人が契約締結しないといけません。
また、賃金は、未成年者に直接賃金を支払わなければならず、未成年者に代わって親権者や後見人に賃金を支払ってはいけません。
労働時間・休日、深夜業の制限(労基法60条・61条)
満18歳未満の年少者には、時間外労働や休日労働は禁止されています。
また、18歳未満の年少者には、原則として変形労働時間を採用することができませんが、下記の場合には限り変形労働時間を採用できます。
年少者の変形労働時間
②1週48時間、1日8時間を超えない範囲において、1ヶ月又は1年単位の変形労働時間を適用する場合
危険有害業務の就労制限、坑内労働の禁止(労基法62条・63条)
満18歳未満の未成年者は坑内作業をさせることはできません。また、以下の業務をさせることはできません。
年少者の禁止業種
〇酒席に侍する業務
〇刑事施設又は精神科病院における業務
〇ボイラーの取扱いの業務
〇ボイラーの溶接業務
〇焼却、清掃又はと殺の業務
〇最大積載量荷重が2トン以上の人荷共用若しくは荷物用のエレベーター又は高さ15メートル以上のコンクリート用エレベーターの運転業務
〇動力により駆動される軌条運輸機関、乗合自動車又は最大積載量が2トン以上の貨物自動車の運転の業務
〇強烈な騒音を発する場所における業務 等
帰郷旅費(労基法64条)
18歳未満の者が解雇の日から14日以内に帰郷する場合には、必要な旅費を負担しなければなりません。
児童(満15歳に達した日以降最初の3月31日が終了するまでの者)の就労について
児童については、原則として労働させることはできません。しかし、例外として以下の条件を満たす場合には、児童(13歳以上)についても労働させることができます。
児童を労働させる条件
13歳以上の児童について、
①製造業、建設業などの工業的業種以外の業種であること
②健康及び福祉に有害でないこと
③労働が軽易であること
④修学時間外に使用すること
⑤所轄労働基準監督署長の許可を得ること
以上の条件を満たせば労働させることができます。
満13歳未満の児童については、映画の製作又は演劇の事業に限り、上記の①~⑤の条件を満たした上で使用することができます。
年少者雇用の注意点
18歳未満の年少者を雇用するにあたっては、上記のように一般の労働者とは異なる規制が多くあるため、法違反がないかより注意をしなければなりません。
年少者が小遣い稼ぎのために働きたいと言われても安易に雇用すべきではなく、公的書面で年齢確認をするなど慎重に対応すべきです。
また、年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けることは必須であり、労働基準監督署の臨検があった際には、すぐに示せるように備え付けておかなければなりません。
年少者を雇用するにあたっては、事前に専門家の弁護士や労働基準監督署に相談することをお勧めします。
弊所では、企業側の労働問題を数多く取り扱う弁護士が対応させて頂きますので、ご安心してご相談ください。