パートの有給のルールとは? 取得の条件や有給休暇の日数を解説

監修者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

保有資格 / 弁護士・入国管理局申請取次者


パートの有給のルールとは、パートタイムで勤務する従業員に適用される有給休暇のルールのことです。

正規の従業員よりも勤務時間が短い従業員を「パート」といいますが、パート従業員であっても、労働基準法の定めるところに従って有給休暇を取得することができます。

ただし、パート勤務の場合は、勤務時間が短いことから、フルタイムで勤務する従業員とは異なるルールで有給休暇の権利が発生することになります。

この記事では、パートの有給休暇について、有給休暇が与えられる条件や日数、注意すべきポイントなどを弁護士が解説します。

パートとは?

パートとは、会社が定める正規の勤務時間(フルタイム)よりも勤務時間が短い従業員のことをいいます。

パートは、「パートタイマー」をさらに簡略化した一般的な表現であり、パートタイム労働法(正式には「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」といいます。)では、「短時間労働者」という言葉が用いられています(パートタイム労働法2条1項)。

参考:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律|電子政府の総合窓口

たとえば、正規の勤務時間帯が、月曜日から金曜日までの午前9時から午後6時まで(うち休憩1時間)の会社を例にとると、週の所定労働時間は40時間(8時間x5日)となります。

これよりも短い時間で勤務すると「短時間労働者」、すなわちパートに該当しますので、理屈の上では、たとえ1分でも正規の労働時間に満たなければ、その従業員はパートに当たります。

実際のパートの例としては、週3勤務や週4勤務のように出勤日数が少ない場合や、週5勤務ではあるものの1日の勤務時間が8時間に満たないような場合などが多いものと思われます。

 

パートとアルバイトの違いは?

正規社員以外に補助的な業務を担うために採用される従業員としては、パートのほかにアルバイトもあります。

アルバイトであっても、正規社員の所定労働時間より勤務時間が短ければ「短時間労働者」に当たりますので、法律的にはパートと異なりません。

「主婦の時短勤務がパートで、学生やフリーターの場合がアルバイト」といったなんとなくのイメージがあるかもしれませんが、 あくまで日常用語としてのニュアンスの違いに過ぎず、法的には両者に区別はありません。

有給休暇に関するルールも共通していますので、アルバイトとして勤務されている方も、この記事を参考にしていただくことができます。

 

 

有給休暇とは?

有給休暇とは、文字どおり「有給」、つまり給料を受け取ることのできる休暇のことであり、正式な名称としては「年次有給休暇」といいます(労働基準法3 9条1項)。

参考:労働基準法|電子政府の総合窓口

給料は労働の対価として会社が支払う報酬ですので、本来であれば、従業員が仕事をしていない休暇の日に対して、給料が発生することはありません。

このような考え方は、「ノーワーク・ノーペイの原則」と呼ばれます。

しかしながら、休暇を取得するとその分の給料が減ってしまうとなると、従業員としては収入面を気にして休みを取りづらくなってしまいます。

そこで、従業員に気兼ねなく休暇を取得できる機会を与えるという労働者福祉の観点から、会社は従業員に対して一定日数の有給での休暇を与えなければならないとされているのです。

これが有給休暇であり、上記のノーワーク・ノーペイの原則の例外を定めたものといえます。

 

 

パートの有給のルール

労働基準法では上記のように、ノーワーク・ノーペイの原則の例外として、従業員に対して一定日数の有給休暇を付与することが会社に義務付けられています。

これは、パートタイムの従業員であっても同様です。

労働基準法における「労働者」とは、「職業の種類を問わず、事業(略)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう」とされています(労働基準法10条)。

参考:労働基準法|電子政府の総合窓口

パートの従業員であっても、勤務時間こそ短いものの、会社の事業のために雇われて賃金の支払いを受けている点では、正社員と異なりません。

そのため、ートであっても労働基準法上の「労働者」に当たり、有給休暇を付与すべき対象となるのです。

有給休暇の権利が発生する条件も、フルタイムの従業員と共通しています。

ただし、パートは正規の従業員よりも勤務時間が短いため、勤務時間に応じて付与される有給の日数が異なります(労働基準法39条3項)。

つまり、パートにおける有給のルールとしては、え方自体はフルタイムと共通しており、付与される日数の部分だけが勤務時間との関係で変動してくるということができます。

次は、実際にはどのような条件でパートに有給が付与されるのか、ルールをさらに詳しく確認してみましょう。

 

パートに有給が付与される条件

労働基準法によれば、会社が従業員に有給休暇を付与することが義務付けられるのは、次の2点が条件とされています(労働基準法39条1項)。

参考:労働基準法|電子政府の総合窓口

  • 従業員が雇用されてから6か月間継続勤務すること
  • その間の出勤日のうち8割以上出勤していること

この条件は正規の従業員とパートで区別はありませんので、勤務を開始して6か月間継続勤務し、かつその間の出勤率が8割以上であれば、パートであっても有給休暇が付与されます。

なお、労働基準法はあくまで下回ることのできない最低の水準ですので、会社が独自にこれを上回る条件を定めることは可能であり、むしろ望ましいものとされています(労働基準法1条2項)。

したがって、会社が就業規則で法律より有利な条件を定めていれば就業規則が優先され、その条件に従って有給が付与されます。

一例としては、年度単位で管理する方がわかりやすいことから、6か月の経過を待たずに入社と同時に有給休暇が付与されるケースが考えられます。

また、有給休暇の付与日数は、フルタイムであれば10日から始まり、勤務年数に応じて最大で年20日まで付与する日数を増やしていく必要がありますが、1年目から最大の20日間を付与する、といった例もあるようです。

従業員満足度の向上や人材確保などのために、労働基準法を上回る条件を定めている会社もありますので、法律だけでなく勤務先の就業規則を確認することも大切です。

 

パートの有給の日数

パートの有給休暇では、付与される日数の点でフルタイムの従業員と差が出てきます。

そこで、パートの場合はどのようなルールの下で、実際に何日の休暇が付与されることになるのかをご紹介します。

まず、パートであっても、勤務時間が一定の基準以上の場合は、フルタイムと同等の日数が付与されます。

具体的には、次のいずれかの場合では、パートでもフルタイムと同じ日数の有給休暇が付与されます。

  • 週の労働時間が30時間以上の従業員(労働基準法施行規則24条の3第1項参照)
  • 週の勤務日数が5日以上の従業員(労働基準法施行規則24条の3第4項参照)

参考:労働基準法施行規則|電子政府の総合窓口

これらに該当する場合には、フルタイムと同じく初年度に10日、勤務の継続により最終的には年20日の有給休暇が付与されます。

次に、週の労働時間が30時間未満で、かつ週の勤務日数が4日以下の場合には、これより少ない日数の付与となります。

付与される有給の日数は、週当たりの勤務日数によって決まり、次のように定められています(労働基準法施行規則24条の3第3項)。

週所定労働日数 勤続年数(雇い入れの日から6ヶ月経過した日から起算)
1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目 7年目以降
5日 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日
4日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日



有給休暇の日数は、勤務時間ではなく勤務日数をベースとしています。

そのため、1日4時間の週5勤務と、1日5時間の週4勤務では、週の勤務時間としてはいすれも20時間ですが、週当たりの出勤日数が多い前者の方が、有給休暇の日数も多く定められています。

また、たとえ週1日のようなごく短時間の勤務であっても、少ない日数ながら有給休暇が付与されていることがご確認いただけるかと思います。

 

 

「パートに有給はない」と言われたときの対処法

ここまでの解説でお分かりいただけるとおり、有給休暇については、たとえパートであっても、付与される日数の点以外はフルタイムの従業員と異なるところはありません。

「パートに有給はない」と言われたときは、有給休暇の権利行使が不当に妨げられている可能性がありますので、次のような対応を検討してみてください。

「パートに有給はない」と言われたときの対処法

 

有給の付与条件を確認する

「パートに有給はない」と言われたときは、まず有給が付与される条件を満たしているか確認する必要があります。

有給休暇の日数としてご紹介したとおり、たとえ週1日勤務のパートであっても、雇い入れから6か月が経過し、その間の出勤率が8割以上であれば、1日の有給休暇が生じます。

逆に、雇い入れから6か月が経過していない場合や、出勤率が8割を切っている場合、勤務日数が週1日にも満たないような場合ですと、有給休暇の権利は発生しないことになります。

これらのようなケースですと、有給休暇を取得する権利が発生しませんので、まずはご自身が有給休暇の付与される条件を満たしているか、確認してみましょう。

 

会社の労務担当者に相談する

有給休暇の条件を満たしていると思われるにもかかわらず、「パートに有給はない」と言われたときは、会社の労務担当者に相談してみましょう。

ここまで解説してきたとおり、パートであっても労働基準法上の「労働者」に当たりますので、勤務日数が週1日にも満たないような例外的なケースを除いて、勤務の継続により有給休暇を取得する権利が発生します。

直属の上司などは必ずしも法律や労務に関する制度に明るいとは限らず、有給休暇のルールを正しく理解していない可能性もあります。

会社の労務担当者などに、有給休暇の考え方について説明を求めてみるとよいでしょう。

 

労働問題に強い弁護士に相談する

有給休暇の条件を満たしていると思われるにもかかわらず、会社が「パートに有給はない」と主張するときは、労働問題に強い弁護士に相談することもご検討ください。

後に解説するとおり、有給休暇には期限があり、有給の権利が発生してから2年間使用しないでいると、時効により消滅してしまいます。

パートに付与される有給休暇の日数を考慮しますと、仮に有給休暇を取らせないという会社の取り扱いが違法であるとしても、それを裁判で争うことは現実的ではないという考え方もあるかもしれません。

しかし、有給休暇は勤務年数に応じて付与日数が上乗せされていく建て付けとなっていますので、有給の取得が認められないまま勤務をつづけると、長期に勤めれば勤めるほど、その分不利益が積みあがっていくことになります。

本来なら使えるはずの有給を使わせてもらいえないという不満を抱えたまま勤務を続けることは、精神衛生上も望ましくありません。

弁護士が間に入って交渉することで、裁判によらずとも会社の取り扱いが変わることもあり得ますし、法律の専門家に話を聞いてもらうだけでも、気持ちの面ですっきりしたという方も珍しくありません。

また、「パートに有給はない」といった虚偽の説明によって有給の取得を妨げられた場合、有給休暇を取得する権利を違法に侵害されたものと評価できるようであれば、慰謝料などの損害賠償を請求することも考えられます。

有給休暇は、労働基準法で認められた重要な権利です。

これを行使できないことの不利益は決して小さくありませんので、パートに有給はないといわれたときは、労働問題に強い弁護士への相談も選択肢のひとつとしてご検討ください。

 

 

パートの有給で注意すべきポイント

有給休暇のルールについては労働基準法によって定められていますが、会社側も従業員側も正確な知識のないまま、なんとなく運用されているというケースも少なくないのではないでしょうか。

パートの有給休暇も基本的なルールは正社員と共通ですが、付与日数などの点で異なる点も存在します。

ここでは、パートの有給に関して注意すべきポイントをいくつかご紹介します。

パートの有給で注意すべきポイント

 

パートでも有給休暇を取る義務が生じる場合

パートでも、有給休暇を取る義務が生じる場合があります。

働き方改革の一環として、年に10日以上の有給休暇を与えられる従業員については、会社はそのうちの5日間について、付与された日から1年以内に、時季を定めて取得させなければならないものとされました(労働基準法39条7項)。

参考:労働基準法|電子政府の総合窓口

有給休暇の付与日数の表でもご確認いただけるとおり、パート従業員であっても、週5日勤務の場合や、週3日ないし4日勤務のでも所定の年数勤務を継続した場合には、年に10日の有給休暇が付与されます。

このようなケースでは、たとえパートであっても上記の義務の対象となるため、有給の取得義務が生じます。

法的には、あくまで会社が従業員に有給を取得させる義務を負っているにすぎず、従業員に有給を取得する義務があるわけではありません。

しかし、この義務に違反した会社には罰則もあるため、有給を取得するよう時季の指定を受けた従業員は、事実上その日に有給休暇を取得する義務を負うことになるといえるでしょう。

 

有給には期限がある

有給休暇は、付与されてから2年間行使しないと、時効により消滅します(労働基準法115条)。

参考:労働基準法|電子政府の総合窓口

付与された有給休暇をその年に使いきれなかった場合、翌年に限って繰り越すことができると説明されることもありますが、これは2年より前に付与された有給休暇は時効によって消滅するためです。

有給休暇は、使っても使わなくても給料の支給額が変わるわけではないので、消滅しても気にしないという方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、有給休暇が消滅するということは、消滅した日数分をただ働きしたのと同じことになります。

有給休暇は法的な権利であることはもとより、適度に休暇を取ってリフレッシュすることは、仕事の能率向上にもつながる好循環が期待されます。

有給休暇を消滅させないためには、付与されたその年か、遅くともその次の年のうちに使い切ることを意識するとよいでしょう。

 

 

パートの有給についてのQ&A

週3でパートをしていて有給はもらえる?

週3のパートであっても、雇い入れから6か月経過し、かつその間の出勤率が8割以上であれば、5日間の有給休暇が付与されます。

また、その後勤務を継続することにより、最大で年11日まで付与日数が増加します。

週3勤務の場合の有給休暇の付与日数は、勤務年数に応じて次のとおりです。

勤続年数(雇い入れの日から6ヶ月経過した日から起算)
1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目 7年目以降
5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日


1日3時間勤務の場合の有給休暇は何日?

有給休暇の付与日数は、原則として週あたりの勤務日数によって決まるため、1日あたりの勤務時間数を考慮する必要はありません。

1日3時間勤務の場合、週の勤務日数により、有給休暇の日数は次のようになります。

週所定労働日数 勤続年数(雇い入れの日から6ヶ月経過した日から起算)
1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目 7年目以降
5日 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日
4日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日


1日4時間勤務の場合の有給休暇は何日?

有給休暇の付与日数は、原則として週あたりの勤務日数によって決まります。

このため、1日4時間勤務の場合であっても、週の出勤日数に応じて、1日3時間勤務の場合と同じ日数が付与されます。

 

1日8時間勤務の場合の有給休暇は何日?

有給休暇の付与日数の表からもわかるとおり、有給の付与日数は週当たりの勤務日数で決まり、勤務時間数は原則として関係ありません。

ただし、週の勤務時間が30時間以上の場合は、フルタイムの従業員と同じ日数が付与されるというルールがあります。

このため、1日8時間勤務のパートの場合は、週の勤務日数が4日であれば、このルールによって週5日勤務の場合と同じ日数の有給が与えられることになります。

 

有給休暇は好きなときに取得できる?

労働基準法では、有給休暇は、「労働者の請求する時季に与えなければならないと定められています(労働基準法39条5項本文)。

参考:労働基準法|電子政府の総合窓口

このため、有給休暇はいつでも従業員の希望する日に取得できるのが原則です。

ただし、「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる」とされており、これを「時季変更権」といいます(同項ただし書)。

有給はあくまで従業員の請求するときに取得させるのが原則であり、時季変更は簡単に認められるものではありません。

ただし、会社の業務に支障が出るような例外的な場合においては、必ずしも希望どおりの日時に有給を取得できるわけではありません。

 

有給休暇の取得に理由が必要?

有給休暇をどのような理由で取得するかは従業員の自由であり、有給休暇を取得するにあたり理由は必要ありません。

会社が有給取得の理由を尋ねること自体は違法とまではいえないと考えられていますが、従業員に答える義務はなく、また、理由によって有給の取得を認めないといったことも許されません。

このため、有給を申請する際に理由を記載する欄がある場合もありますが、答えたくなければ、「私用のため」とするか、あるいは空欄のままでも構いません。

ただし、上記の時季変更権との関係で、有給休暇の理由を会社が確認してよいケースがあります。

たとえば、同じ日に2人から有給休暇の取得申請があり、どちらか1人には出勤してもらわなければ支障があるといった場合に、有給休暇を取らせるべき必要性の程度を判断するために、理由を尋ねるといったことはあり得ます。

このような場合でも、休暇の理由を答える義務があるわけではありませんが、有給休暇を取得させるべき必要性が判断できないため、もう1人の方の休暇を優先し、時季変更権の対象とされてしまうことが考えられます。

 

有給休暇がもらえない場合とは?

有給休暇は労働基準法によって付与される権利であり、パートであることを理由に有給休暇がもらえないということはありませんが、法律上の条件を満たさない場合には、有給休暇の権利が発生しません。

具体的には、入社から6か月が経過していない場合や、6か月は経過しているものの、有給休暇が発生するまでの期間の出勤率が8割に満たない場合には、有給休暇は与えられません。

また、ケースとしては多くないかもしれませんが、出勤が2週で1日のように週1日未満である場合も、有給休暇の付与対象とはなりません。

 

有給休暇の買い取りは可能なの?

有給の買い取り、たとえば給料を1日分多く払うのと引き換えに、有給休暇の日数を1日減らすといったことは、原則として許されません。

これを認めると、従業員としては休暇を会社に買い取ってもらった方が給料が増えることになり、「給料の減額を気にせずに休暇を取得できるように」という有給休暇の趣旨に反するためです。

法律上明確に有給の買い取りが禁止されているわけではありませんが、行政解釈もそのように理解しており、有給休暇の制度趣旨から考えても違法になるというのが一般的な解釈となっています(昭和30年11月30日基収第4718号)。

ただし、労働基準法の趣旨に反しない限りにおいて、買い取りが認められる場合もあります。

たとえば、退職時に消化しきれなかった分の有給休暇を買い取ることは、従業員にとってはメリットでしかなく何の不利益も及ぼさないため、許されると考えられています。

また、労働基準法上の年次有給休暇にあたらない会社独自の休暇(夏季休暇や慶弔休暇など)についても、買い取りは可能です。

 

有給休暇を取得した日の給料はどうなる?

パート従業員が有給休暇を取得した日の給料は、通常の賃金によって算出する方法がよく用いられます。

たとえば、時給1,000円で1日6時間勤務の従業員が有給休暇を取得した場合であれば、その日を通常どおり出勤したものとみなして、1,000円 x 6時間 = 6,000円を支給します。

ただし、このほかにも、過去3か月の平均賃金から算出する方法や、標準報酬日額から算出する方法なども認められています。

これらの計算方法も一定の合理性がある考え方ではありますが、単純に給料をそのまま支給するわけではないため、計算によっては微妙に本来の給与額と異なる金額の支給となることがあり得ます。

 

有給は時間単位でも取得できる?

有給休暇を1日ではなく1時間単位で取得できる旨の労使協定を締結すれば、年に5日以内の範囲で、有給休暇を時間単位で取得することができます(労働基準法39条4項)。

参考:労働基準法|電子政府の総合窓口

有給休暇は、従業員のリフレッシュの機会を確保するという観点からは、ある程度まとまって取得することが望ましいとされている反面、もっと柔軟に休暇を利用したいという従業員側のニーズもあります。

たとえば、夕方に1時間早く帰れれば用事に間に合うといった場合では、時間単位での有給休暇の利用が認められないと、そのために丸一日を消化することとなってしまい、もったいないということがあり得ます。

そこで、労使協定が締結されていれば、年5日以内の範囲で有給休暇を時間単位で利用することができます。

 

 

まとめ

この記事では、パートの有給休暇について、有給休暇が与えられる条件や日数、注意すべきポイントなどを解説しました。

記事の要点は、次のとおりです。

  • パートとは、「パートタイマー」をさらに簡略化した一般的な表現であり、会社が定める正規の勤務時間(フルタイム)よりも勤務時間が短い短時間労働者のことをいう。
  • 有給休暇は、正式には「年次有給休暇」といい、休暇を取得しても給料が支給される。
  • パートであっても、有給休暇の権利が発生する条件はフルタイムの従業員と同じであるが、勤務時間が短いことにより付与日数が影響を受ける。
  • 有給休暇は労働基準法が認めた重要な権利であり、その利用に関して疑問があるときは、労働問題に強い弁護士への相談が有効である。

当事務所では、労働問題を専門に扱う企業専門のチームがあり、企業の労働問題を強力にサポートしています。

Zoomなどを活用したオンライン相談も行っており全国対応が可能です。

有給休暇に関する問題については、当事務所の労働事件チームまで、お気軽にご相談ください。

この記事が、労働問題にお悩みの企業にとってお役に立てれば幸いです。

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