労働条件通知書とは?明示すべき事項を解説|改正対応テンプレート

監修者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

保有資格 / 弁護士・入国管理局申請取次者


労働条件通知書とは、会社から従業員に対して、賃金や勤務時間といった労働条件を明示するために交付される書面のことをいいます。

会社は従業員に対して労働条件を明示する義務を負っており、労働条件通知書に不備があると違法となるおそれがあるため、正しく作成しなければなりません。

この記事では、労働条件通知書の定義や意味合い、作成の際の注意点などについて、弁護士が解説します。

労働条件通知書とは?

労働条件通知書とは、会社から従業員に対して、賃金や勤務時間といった労働条件を明示するために交付される書面のことです。

 

労働条件通知書はなぜ必要?

労働条件通知書は、従業員を雇い入れるにあたって必要となる書面です。

労働条件通知書が必要となる理由は、次のとおりです。

 

法律上の義務

会社が従業員と労働契約を締結する際は、労働条件のうち一定のものについては、従業員に対して明示しなければならないとされています。

これを、「労働条件の明示義務」といいます。

根拠条文
(労働条件の明示)
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
②・③ (略)

引用:労働基準法|電子政府の総合窓口

この労働条件の明示は、原則として書面によらなければなりません(労働基準法施行規則5条4項)。

参考:労働基準法施行規則|電子政府の総合窓口

つまり従業員を雇い入れるにあたって、労働条件通知書の交付は、法的な義務ということができます。

契約書のような書面がなくとも労働契約自体は成立しますが、労働条件通知書を交付しなければ、この明示義務に違反することになるのです。

 

トラブル防止のため

労働条件通知書の交付は、法的な義務であるという形式的な問題にとどまらず、実質的な観点からも必要なものです。

労働条件通知書が交付されていないと、後出しで不利な労働条件に変更されるなどして、従業員の利益が害される可能性があります。

また逆に、話が違うといって従業員の側から訴訟を起こされるなど、紛争に発展することも考えられます。

従業員の待遇にかかわる事柄は、会社と従業員のいずれにとっても重要な事項ですので、書面のような記録に残る形で明示することが、紛争予防のためにも重要なのです。

 

労働条件通知書と雇用契約書の違い

労働条件通知書と似て非なるものとして、「雇用契約書」というものがあります。

上記のとおり、会社側は従業員に対して労働条件を書面によって明示する義務がありますが、労働条件通知書を交付すれば足りるため、必ずしも雇用契約書を作成する義務はありません。

ただし、労働条件の明示は、雇用契約書の中に労働条件についての条項を設けることによっても果たすことができます。

両者の違いとしては、労働条件通知書が「通知書」であるのに対し、雇用契約書が「契約書」であるところです。

すなわち、労働条件通知書は「通知書」ですので、従業員に対して会社から一方的に通知されるという位置づけになります。

もちろん、一方的な通知であっても、従業員は通知書の労働条件を前提として勤務しますので、内容が法令に違反しているといった事情がなければ、通知は有効なものとして機能します。

他方で、雇用契約書は「契約書」ですので、労働条件通知書のような一方的な通知ではなく、会社と従業員が合意した上で作成されます。

実際には、会社側で準備したものを従業員が受け入れるという形で成立することが多いと思われますが、書面の体裁上は会社と従業員の双方が共同して作成するものとなります。

 

会社には雇用契約書をお勧め

このように、労働条件通知書と雇用契約書のいずれによっても労働条件の明示義務を果たすことは可能ですが、どちらがより望ましいかといえば、「雇用契約書」の方をおすすめします。

雇用契約書は「契約書」ですので、単に労働条件が明らかになるだけでなく、記載された労働条件について従業員が合意していることまでもが、書面に織り込まれるのです。

労働条件通知書であっても、従業員に適切に通知されていれば有効なものとはなりますが、その通知されたという事実自体が、書面からは明らかになりません。

この点では、労働条件通知書は雇用契約書に一歩劣るということができます。

いずれにせよ書面を作成する必要があるのですから、労働条件をめぐる紛争の可能性を最小限に抑えるという点からは、雇用契約書を作成する方が望ましいといえるのです。

雇用契約書についての詳しい解説は、こちらの記事をご覧ください。

 

 

労働条件通知書に記載すべき事項

労働条件の明示義務の対象は、「賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項」でした。

明示すべき事項には、従業員に対して例外なく明示すべき「絶対的明示事項」と、会社に該当する制度がある場合には必ず明示しなければならない「相対的明示事項」があります。

それぞれの内容は、次のとおりです。

 

絶対的明示事項

  • 労働契約の期間
  • 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
  • 就業の場所及び従事すべき業務(変更の範囲を含む)
  • 就業時間(始業、終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇等)
  • 賃金の決定、計算、支払いの方法、支払の時期、昇給の有無
  • 退職(解雇の事由を含む)

 

相対的明示事項

  • 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法ならびに退職手当の支払いの時期
  • 臨時に支払われる賃金、賞与等
  • 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他
  • 安全および衛生
  • 職業訓練
  • 災害補償
  • 表彰および制裁
  • 休職

労働条件の明示についてのさらに詳しい解説は、こちらの記事をご覧ください。

 

 

労働条件通知書のテンプレート

労働条件通知書を適切に作成するためには、テンプレートを参照することが有用です。

ここでは、利用しやすい雛形とともに記入例もお示ししますので、労働条件通知書を作成する際の参考としてください。

 

労働条件通知書の雛形ダウンロードはこちら

労働条件通知書は、それぞれの従業員に適用される労働条件を正確に記載することが重要です。

特に、正社員とパートタイマーでは労働条件が大きく異なりますので、雛形としては、ひとまずこの2種に大別することができます。

 

正社員用

正社員用の労働条件通知書は、こちらを参考としてください。

 

パート・アルバイト用

非正規社員用の労働条件通知書は、こちらを参考としてください。

 

労働条件通知書の記入例

正社員用の雛形を例にとって記入例をお示しすると、たとえば以下のような記載となることが考えられます。

ここでは記載のイメージを持っていただき、それぞれの項目の考え方などの詳細は、次の記事でご確認ください。

 

契約期間

期間の定めなし、試用期間(6ヶ月間)

 

就業の場所

雇入れ直後:東京本社
変更の範囲:甲の定める全ての営業所

 

従事すべき業務の内容

雇入れ直後:営業事務
変更の範囲:甲が指定する全ての業務

 

始業・終業の時刻、休憩時間、就業時転換、所定時間外労働の有無に関する事項

  1. 1 始業・就業の時刻等
    (1) 始業(9時00分) 終業(18時00分)
  2. 2 休憩時間(60分)
  3. 3 所定時間外労働の有無(〇有、無)

 

休日

定例日:毎週 土・日曜日、国民の祝日、その他(会社が指定した日)

 

休暇

  1. 1 年次有給休暇 6か月継続勤務した場合→10日
    継続勤務6か月以内の年次有給休暇 (有・〇無)
    時間単位年休 (〇有・無)
  2. 2 代替休暇(有・〇無)
  3. 3 その他の休暇 有給 (ボランティア休暇・介護休暇・リフレッシュ休暇等)
    無給 (病気休暇・裁判員休暇等)
    〇詳細は、就業規則第〇条~第〇条

 

賃金

  1. 1 基本賃金 〇イ 月給(300,000円)
  2. 2 諸手当の額又は計算方法
    〇イ(通勤手当 月額50,000円まで/計算方法:距離に応じて支給)
    〇ロ(職務手当 月額70,000円まで/計算方法:職務遂行能力に応じて支給)
  3. 3 所定時間外、休日又は深夜労働に対して支払われる割増賃金率
    イ 所定時間外、法定超 月60時間以内( 25 )%
    月60時間超 ( 50 )%
    所定超 ( 0 )%
    ロ 休日 法定休日( 35 )%、法定外休日( 25 )%
    ハ 深夜( 25 )%
  4. 4 賃金締切日(   )――毎月末日
  5. 5 賃金支払日(   )――毎月25日
  6. 6 労使協定に基づく賃金支払時の控除(無 、〇有(法定費目及び労使協定で定められた費目))
    ※詳細は、就業規則第◯◯条の定めるところによる
  7. 7 昇給( 〇有 (時期等       )、 無 )
    (時期等)
    勤務成績その他が良好な労働者について、毎年◯月◯日をもって行うものとする。
    ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由がある場合は、行わないことがある。
    詳細は、就業規則◯◯条~◯◯条に定めるところによる。
  8. 8 賞与( 〇有(時期、金額等 ) 、 無)
    (時期、金額等 )
    6月30日、12月15日に支給する。
    金額、算定対象期間、算定方法等については、就業規則第◯条に定めるところによる。
    ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由により、支給時期を延期し、又は支給しないことがある。
  9. 9 退職金( 〇有(時期、金額等  就業規則第〇条に従い支給する) 、 無)

 

退職に関する事項

  1. 1 定年制 ( 〇有 (65歳) 、 無)
  2. 2 継続雇用制度( 〇有 (70歳まで)、 無)
  3. 3 創業支援等措置( 有( 歳まで業務委託・社会貢献事業) 、〇無 )
  4. 4 自己都合退職の手続(退職する14日以上前に届け出ること)
  5. 5 解雇の事由及び手続
    (就業規則第○条~○条の規定による。原則として30日前に予告の上、解雇する。)

 

その他

  • 社会保険の加入状況( 〇厚生年金 〇健康保険 厚生年金基金 その他( )
  • 雇用保険の適用( 〇有 、 無 )
  • その他  ※以上の他は当社就業規則による。就業規則を確認できる場所や方法(会社のシステムから閲覧可能)

 

 

労働条件通知書を作成しないリスク

労働条件通知書が必要な理由として、法律上の義務であることと、トラブル防止の意味合いがあることを解説しました。

労働条件通知書を作成しないリスクは、これらの理由に対応したものとなります。

 

法律違反になる

明示義務という言葉でご説明してきたとおり、会社が従業員を雇い入れるにあたっては、従業員に対して労働条件を書面で明示する義務があります。

この義務に違反して労働条件通知書を交付しなかった場合、労働基準法違反として30万円以下の罰金が科せられます(労働基準法120条1号)

参考:労働基準法|電子政府の総合窓口

 

トラブルの原因となる

労働条件通知書を作成しないことは、従業員との間でトラブルを引き起こす原因となり得ます。

労働条件通知書は、賃金や労働時間といった従業員の基本的な勤務条件を定める重要なものです。

労働条件通知書が作成されていないと、これらの条件をめぐって従業員の間で紛争となるおそれがあります。

労働条件の明示は、従業員に不測の不利益を与えないという趣旨に基づくものですが、これは同時に会社を守ることにもつながるのです。

雇用契約書がない場合の違法性やデメリットについては、こちらの記事をご覧ください。

 

 

労働条件通知書の注意点|ケース別

労働条件通知書の注意点|ケース別

共通して注意すべきこと

労働条件通知書をいつ渡すべきか

労働条件の明示は、法律上は「労働契約の締結に際し」とされています。

入社の直前の交付であっても、入社前であれば一応事前に労働条件を明示しているとはいえます。

入社前に面談の機会をもうけ、あらかじめ労働条件通知書の内容を説明するというのも有益です。

 

就業規則の最低条件を意識する

労働条件には、労働基準法などの関係法令によって、下回ることができない最低の基準が設けられています。

就業規則は法定の最低条件を下回らないように定められているはずですので、労働条件通知書を作成する際も、この点を意識する必要があります。

労働条件通知書に記載の労働条件は、法律の最低基準を下回ることはできず、また、会社の就業規則の基準を下回ることもできません。

これはたとえば、就業規則が法律よりも有利な条件で設定されている場合に、その中間、つまり「法律以上・就業規則未満」の条件とすることもNGということです。

この場合は、法律の最低条件はクリアしているものの、就業規則が全社員に適用されている中で、特定の従業員だけが狙い撃ちで不利な条件とされているような形となるため、認められないのです。

個別の労働契約で就業規則未満の条件を定めても、その部分は無効となります。

根拠条文
(就業規則違反の労働契約)
第十二条 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

引用:労働契約法|電子政府の総合窓口

なお、就業規則よりもさらに有利な条件とする分には違法とはなりませんが、労働条件通知書と就業規則のいずれが優先されるのかという疑義が生じかねないため、特段の意図がない限りは、就業規則と一致させておくのがよいでしょう。

就業規則や雇用契約書を見直す際のポイントについては、こちらの記事をご覧ください。

 

雛形は参考程度にすべき

労働条件通知書を作成する際に雛形は便利なものではありますが、あくまで参考程度にとどめるという意識も大切です。

雛形は、不特定多数の会社が利用することを前提とした、最大公約数的な見本です。

そのため、雛形にならって労働条件通知書を作成することで書面としての体裁を整えることはできますが、個別の項目については、自社の規定に沿うようにカスタマイズする必要があります。

雛形をそのまま流用するのではなく、作成のたたき台として利用するのが適切といえるでしょう。

 

電子化する場合は従業員の希望が必要

近年のペーパーレス化の流れの中で、労働条件通知書も電子化したいというニーズがあるかもしれません。

ただし、労働条件の明示は書面の交付によるのが法律上の原則であり、ファックスや電子メールなどの方法は、従業員が希望した場合に限り認められます(労働基準法施行規則5条4項)。

参考:労働基準法施行規則|電子政府の総合窓口

従業員の希望を聞かずに労働条件通知書を電子化することのないよう、気をつけてください。

 

モンスター社員対策を考慮

労働条件通知書は書き方を工夫することで、モンスター社員対策として活用することもできます。

相対的明示事項としてお示ししたように、労働条件通知書には「制裁に関する事項」を記載することができます。

モンスター社員は会社でトラブルを起こすほか、会社からの処分についても不服を申し立てて争うケースが見られます。

そこで、労働条件通知書に制裁事項として、問題行動とその処分を定めておくことによって、トラブルの抑止効果が期待できるのです。

モンスター社員対策についての詳細は、こちらの記事をご覧ください。

 

変更する場合は不利益変更に注意

就業規則を従業員に不利益に変更するときは、原則として従業員の同意を要します(労働契約法9条本文)。

例外的に従業員の同意が不要となるのは、変更を従業員に周知し、かつ変更内容が合理的であるなど、同法10条の要件を満たす場合です。

参考:労働契約法|電子政府の総合窓口

そして、就業規則を変更したときは、労働条件通知書もこれと整合するものを改めて交付すべきです。

そうしないと、その従業員との関係では、なお従前の労働条件を適用するかのような誤解が生じるおそれがあるためです。

 

正社員の労働条件通知書で注意すべきこと

正社員として雇用する場合、契約社員やパート従業員と比較すると、雇用関係が比較的長期にわたって継続し、その間に昇級や昇格の機会があったり、賞与、退職金などの支払いが生じたりといった特徴があります。

そこで、正社員の労働条件通知書では、このような項目について特に詳細な規定を設けることが望ましいと言えます。

 

パートやアルバイトで注意すべきこと

正社員と比較すると、パートやアルバイトの従業員は、業務内容の範囲が限定的であり、雇用期間も短期であるという特徴があります。

パートやアルバイトの従業員は、採用の目的に応じて、雇い入れられる際の条件が個人ごとに多種多様となり得ることが考えられます。

労働条件通知書を作成する際に、定型の様式を一切修正せずに使い回すということをしてしまうと、その従業員の労働条件が正しく反映されないといったことが起こり得ます。

パートやアルバイトの労働条件通知書では、記載内容と実際の労働条件に齟齬が生じないよう、特に注意を払う必要があるといえます。

また、同一労働同一賃金の観点から、正社員とパートやアルバイトとの業務内容や責任の程度に違いを説明できるように、労働条件通知書の記載内容も違いを持たせる必要があります。

 

契約社員の労働条件通知書で注意すべきこと

契約社員の労働条件通知書では、無期転換申込権を明示する点が重要です。

「無期転換申込権」とは、有期雇用の従業員の雇用期間が通算で5年を超えた場合に、その従業員が会社に対して無期雇用に転換するよう請求することができる権利のことです(労働契約法18条1項)。

参考:労働契約法|電子政府の総合窓口

無期転換申込権は、ゆくゆくは正社員として働くことを希望する従業員にとって重要な権利です。

そのため、無期転換申込権は、明示義務の対象とされています(労働基準法施行規則5条5項)。

もし、無期転換申込権の行使についての記載が労働条件通知書に記載されていないと、たとえ他意のない記載もれであっても、無期雇用に転換できることを隠しているかのように捉えられかねません。

契約社員用の労働条件通知書では、無期転換申込権の明示について特に注意してください。

労働条件の明示義務についての詳しい解説は、こちらの記事をご覧ください。

 

 

労働条件通知書を作成する3つのポイント

労働条件通知書を作成する3つのポイント

会社を守ることができる労働条件通知書を作成する

労働条件書を作成する際は、会社を守ることができるものとすることが重要です。

もちろん、従業員の労働条件は労働基準法などの法令で最低限の水準が決められているため、会社側が一方的に有利になるような労働条件を通知したとしても、法令に反する部分は無効となります。

しかし、従業員との間で紛争となることの多い条件や、従業員が問題を起こした際の処分などについて疑義のないよう明確に通知しておくことによって、不測の損害を予防するようなものとすることはできます。

法的な紛争は、起こったものに対処するよりも、はじめから紛争自体を起こさないために措置を講じておくほうが、結果的に負担が少なくなるというケースが多々あります。

労働条件通知書を作成するときは、会社を守れる内容になっているかという視点が重要といえます。

問題社員の対策についての詳細は、こちらの記事をご覧ください。

 

最新の法令改正に対応する

近年では、一連の働き方改革により、ワークライフバランスの確保や働き方の多様化などが強く推進されており、これらに対応するための法改正が相次いでいます。

一度作成した労働条件通知書を見直すことなく漫然と使用し続けていると、最新の法令改正への対応が追いついていないものとなってしまうリスクがあります。

労働条件通知書は従業員に労働条件を明示するものであり、従業員との間の紛争予防のためにも、法令に適合していることは最重要のファクターとなります。

たとえば、定期的に専門家に相談する機会を設けるなどして、法改正についての最新情報を積極的に把握できるようにしておくとよいでしょう。

 

労働問題に強い弁護士に相談する

労働条件通知書を作成する際は、労働問題に強い弁護士に相談することも重要になります。

労働条件通知書は、従業員に対して労働条件を明示するための重要な書面であり、不備があると後々紛争に発展する危険があります。

逆に、採用段階で適切な労働条件通知書を交付できていれば、従業員との間の紛争を未然に防ぐという効果も期待できます。

せっかく労働条件通知書を作成するのですから、労働問題に強い弁護士にアドバイスをもらいながら、法的な観点で見て問題のないものを作成することをおすすめします。

労働問題における弁護士選びの重要性については、こちらの記事をあわせてご覧ください。

 

 

労働条件通知書についてのQ&A

2024年4月に改正された点とは?

従業員にとって重要な労働条件の明示を推進するため、2024年4月に、明示義務の対象が拡大されました。

具体的には、就業場所や業務内容の変更の範囲、有期雇用従業員に対する契約更新に関する事項や無期転換申込権について新たに明示義務の対象となりました。

 

労働条件通知書をもらっていないとどうなる?

労働条件を書面で明示することは、法律上の義務です。

労働条件通知書が交付されていないと、労働条件をめぐって会社と見解が食い違ってくるおそれがありますので、速やかに交付を請求しましょう。

 

労働条件通知書は正社員にも必要ですか?

労働条件の書面による明示義務は、雇用の形態を問いません。

そのため、正社員についても労働条件通知書の交付は必要となります。

 

 

まとめ

この記事では、労働条件通知書の定義や意味合い、作成の際の注意点などについて解説しました。

記事の要点は、次のとおりです。

  • 労働条件通知書とは、会社から従業員に対して、賃金や勤務時間といった労働条件を明示するために交付される書面のことをいう。
  • 労働条件通知書は、労働条件の明示義務を果たすほか、従業員とのトラブルを予防するためにも重要であるが、会社と従業員の合意がより明確になる雇用契約書を作成する方が望ましい。
  • 労働条件通知書を作成する際は、明示すべき事項を漏らさないことや、労働基準法の定める最低基準を下回ってはいけないことなどに注意する必要がある。
  • 労働条件通知書は、適切に作成することで、労働条件をめぐるトラブルを予防することが期待できるので、労働問題を得意とする弁護士の助言の下で作成することがおすすめである。

当事務所では、労働問題を専門に扱うチームがあり、企業の労働問題をサポートしています。

各種オンラインツールを使ってのご相談にも対応しております。

労働条件通知書についてお悩みの方は、当事務所へ、お気軽にご相談ください。

この記事が、労働問題にお悩みの企業にとってお役に立てれば幸いです。

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