解雇されたら失業保険はどうなる?【期間・計算・手続を弁護士が解説】
解雇された場合、受給資格(6カ月以上の勤務)があれば、基本的には勤務期間に応じて90日から330日の範囲で失業手当が支給されます。
解雇された場合、会社で働いていた従業員はいきなり無収入になるのではないか、心配になると思います。
ここでは、失業保険が支給される場合、いつからいつまで支給されるのか、もらえる失業手当の額等について、労働問題に注力する弁護士がわかりやすく解説していきます。
失業保険にご関心がある方は、ぜひ参考になさってください。
目次
解雇とは?
解雇とは、会社側による一方的な労働契約の解約のことをいいます。
解雇の種類は、大きく分けて次の4種類あります。
普通解雇とは、懲戒解雇のような特別な解雇以外の解雇をいいます。
普通解雇の理由としてよくあげられる理由は、能力不足、経歴詐称、度重なる遅刻や欠勤、協調性の欠如、業務命令違反などです。
懲戒解雇とは、従業員が会社の秩序を乱す重大な規律違反や非行を行った場合に制裁として行う解雇のことです。
懲戒解雇となり得る具体的な問題行為としては、会社資金の横領行為、重度のセクハラ・パワハラ、長期にわたる無断欠勤、重大な経歴詐称などがあります。
整理解雇とは、会社の業績が悪化した際に人員削減のために行う場合など、会社の経営上の理由で労働契約を解消する場合の解雇をいいます。
解雇の種類の詳細につきましてはこちらのページをご覧ください。
失業保険とは?
失業保険とは、政府が保険者となって、従業員・会社から保険料を徴収し、被保険者である従業員が失業した場合に、公共職業安定所(通称ハローワーク)を通じて支給されるものをいいます。
雇用保険法という法律では、失業者の生活を支えるために、雇用保険制度の一環として、一定の給付(求職者給付と就職促進給付)を支給する制度を定めています。
この求職者給付のうち、「基本手当」が一般的に失業保険や失業手当と呼ばれるものです。
参考:厚生労働省HP
失業保険をもらえる対象者は?
雇用保険制度は、従業員を雇用するすべての事業に適用され(雇用保険法5条1項)、そこで雇用される従業員は被保険者とされます。
ただし、以下のような場合は雇用保険制度の適用対象から除外されています(雇用保険法6条2号、3号等)。
- 週の所定労働時間が20時間未満の人
- 同一事業主での雇用見込みが30日以内の人
- 短期または短時間で季節的に雇用される人
- 学生・生徒で厚生労働省令で定める人
解雇されたら失業保険はもらえる?
結論としては、解雇された場合であっても、受給条件を満たせば失業保険をもらうことはできます。
ここで、退職には、会社都合退職と自己都合退職があります。
会社都合退職
会社都合退職とは、雇用保険法上の「特定受給資格者」(雇用保険法23条2項)に該当する退職をいいます。
「特定受給資格者」とは、具体的には、倒産・解雇等の理由により再就職の準備をする時間的余裕がなく離職を余儀なくされた人をいいます。
自己都合退職
一方、自己都合退職とは、会社都合退職以外のものをいいます。
具体的には、転職や独立をするために従業員本人から申し出て退職した場合や、自己の責めに帰すべき重大な理由で解雇された場合がこれにあたります。
- ① 刑法各本条の規定に違反し、又は職務に関連する法令に違反して処罰を受けたことによる解雇(訴追を受け、取り調べ中、控訴又は上告中で刑の確定しない場合は含まれない。 起訴猶予も該当しない。)
- ② 故意または重過失により事業所の設備または器具を破壊したことによる解雇(事業主に損害を与えた場合)
- ③ 故意または重過失により事業所の信用を失墜せしめ、または損害を与えたことによる解雇
- ④ 労働協約または労基法(船員法)に基づく就業規則に違反したことによる解雇(以下に該当し、解雇予告除外認定を受けたとき)
-
- ア 極めて軽微なものを除き、事業所内において窃盗、横領、傷害等刑事犯に該当する行為があった場合
- イ 賭博、風紀紊乱(ふうきびんらん)等により職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼす行為があった場合
- ウ 長期間正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合
- エ 出勤不良又は出欠常ならず、数回の注意を受けたが改めない場合
-
- ⑤ 事業所の機密を漏らしたことによる解雇(機密には事業所の機械器具、製品、原料、技術等の機密、事業所の経営状態、資産等事業経営上の機密に関する事項等を包含する。)
- ⑥ 事業所の名をかたり、利益を得又は得ようとしたことによる解雇
- ⑦ 他人の名を詐称し、又は虚偽の陳述をして就職をしたための解雇
引用元:厚生労働省HP
自己都合退職の例外
ただし、自己都合退職であっても、心身の障害等により離職した場合や、妊娠・出産・育児等により離職した場合など、正当な理由のある自己都合により離職した場合は、「特定理由離職者」(雇用保険法13条3項)として、先ほど紹介した会社都合退職の特定受給資格者と同じ受給資格を得ることができます。
以上をまとめると、失業保険の受給資格者は、
- ① 会社都合退職者(特定受給資格者)
- ② 自己都合退職者(一般の離職者)
- ③ 自己都合退職者(特定理由離職者)
の3つに分かれます。
②自己都合退職者(一般の離職者)は、①会社都合退職者、③自己都合退職者(特定理由離職者)と比較して失業保険の受給日数などが不利になります。
解雇された場合の取扱い
解雇された場合の退職者は、基本的には、①会社都合退職者(特定受給資格者)にあたります。
もっとも、自己の責めに帰すべき重大な理由で解雇された場合には、②自己都合退職者(一般の離職者)として扱われます。
逆にいえば、自己の責めに帰すべき重大な理由で解雇された場合であっても、後述する受給条件を満たせば、失業保険を受給できるということになります。
以下では、解雇理由別にどちらの退職者に該当するのか説明いたします。
解雇の種類 | 取扱い | 備考 |
---|---|---|
普通解雇 詳しくはこちら |
①会社都合 | |
懲戒解雇 詳しくはこちら |
②自己都合 | 自己の責めに帰すべき重大な理由で解雇されるため |
諭旨解雇 詳しくはこちら |
②自己都合 | |
整理解雇 詳しくはこちら |
①会社都合 | 会社の業績が悪化した際に人員削減のために行う場合など、会社の経営上の理由でなされる解雇のため |
失業保険の受給条件は?
「失業」とは?
失業保険の支給要件とされる「失業」状態は、「被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあること」をいいます(雇用保険法4条3項)。
そのため、そもそも就職する意思がない人や、病気・怪我・妊娠・出産・育児などですぐに就職することができない人、離職後すでに就職をした人などは、失業保険の基本手当を受給することができません。
また、働く意思を確認するために、ハローワークに来所して求職の申込みを行う必要があります。
受給資格者別の受給条件
上述の「失業」状態にあることに加え、受給資格者別に求められる受給条件が異なります。
- 会社都合退職者(特定受給資格者)
離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6カ月以上あること(雇用保険法13条2項)。 - 自己都合退職者(一般の離職者)
離職の日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12カ月以上あること(雇用保険法13条1項)。 - 自己都合退職者(特定理由離職者)
離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6カ月以上あること(雇用保険法13条2項)。
被保険者期間は、雇用保険の被保険者であった期間のうち、賃金支払基礎日(従業員が勤務したことで会社が給料を払う対象となる日)が11日以上ある月を1カ月として算出します。
解雇されたら失業保険はいつからもらえる?
待機期間
失業保険のうち基本手当(失業手当)は、ハローワークにて諸手続きを行うことで受給することができますが、手続きを行った後すぐに受給できるわけではありません。
離職票の提出と求職の申込みを行った日(受給資格決定日)から通算して7日間を「待期期間」といい、その期間が満了するまでは失業手当は支給されません(雇用保険法21条)。
これは、離職の理由等にかかわらず、一律に適用されます。
給付制限期間
ただし、②自己都合退職者(一般の離職者)の場合、7日間の待機期間を経過した翌日からさらに原則として2カ月間、失業手当を受給できない期間(「給付制限期間」)があります。
なお、以下のような場合は、給付制限期間が「3カ月」となります。
- 自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇
- 令和2年9月30日以前の自己都合退職
- 過去5年以内に2回以上の自己都合退職がある
この給付制限期間については、運用で従来3カ月とされていましたが、令和2年10月1日の雇用保険法改正に伴い、2カ月となりました。
雇用保険法33条1項によれば「1か月以上3か月以内」と幅をとっており、条文上は変わっていませんが、行政の運用においては変更されています。
もっとも、懲戒解雇や諭旨解雇といった、自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇の場合は、従来通り給付制限期間は3か月のままです。
所定給付日数
失業手当がもらえる期間 =「所定給付日数」は、離職理由、被保険者であった期間、年齢などによって決まります。
黄色:被保険者であった期間 青色:被保険者であった期間
1年未満 | 1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 | |
---|---|---|---|---|---|
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ー |
30歳以上35歳未満 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳以上45歳未満 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 | |
45歳以上60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
10年未満 | 10年以上 20年未満 |
20年以上 | |
65歳未満 | 90日 | 120日 | 150日 |
まとめ
①会社都合退職者(特定受給資格者) | ②自己都合退職者(一般の離職者) | ③自己都合退職者(特定理由離職者) | |
---|---|---|---|
解雇の種類 | 基本的には
|
基本的には
|
|
受給条件 | 離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6カ月以上あること | 離職の日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12カ月以上あること | 離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6カ月以上あること |
給付開始時期 | 7日間の待機期間満了後から | 7日間の待機期間+3カ月の給付制限期間あり | 7日間の待機期間満了後から |
所定給付日数 | 90日〜330日 | 90日〜150日 | 90日〜330日(一部) |
解雇された場合の失業保険の受給期間
失業手当の受給期間は、原則として離職の日の翌日から起算して1年間です。
その間に、所定給付日数分を限度として失業手当が支給されます。
また、その間に病気、けが、妊娠、出産、育児等の理由により引き続き30日以上働くことができなくなったときは、その働くことのできなくなった日数だけ、受給期間を延長することができます。
ただし、延長できる期間は最長で3年間となっています。
失業保険はいくらもらえるの?
計算方法
失業保険の受給額総額は、「所定給付日数 × 基本手当日額」で決まります。
「基本手当日額」とは、失業保険の1日当たりの支給額のことをいいます。
基本手当日額は、賃金日額 × 給付率 で割り出されます。
そして、賃金日額は、退職前6か月の賃金合計 ÷ 180で割り出されます。
給付率は、年齢、賃金日額によって異なります(下表を参照ください)。
計算手順をまとめますと、
- ① 賃金日額=退職前6か月の賃金合計 ÷ 180
- ② 基本手当日額(失業保険の1日あたりの支給額)= 賃金日額 × 給付率
- ③ 失業保険の受給総額 = 所定給付日数 × 基本手当日額
となります。
賃金日額、基本手当日額の上限額、下限額
なお、賃金日額、基本手当日額にはそれぞれ上限額、下限額があります。
以下では、賃金日額、基本手当日額の上限額、下限額をご紹介します。
なお、下表は令和4年8月1日以降に離職された方を対象としたものになります。
離職時の年齢 | 賃金日額の上限額 | 賃金日額の下限額 |
---|---|---|
29歳以下 | 13,670円 | 2,657円 |
20〜44歳 | 15,190円 | |
45〜59歳 | 16,710円 | |
60〜64歳 | 15,950円 |
見出し | 見出し | 見出し |
---|---|---|
29歳以下 | 6,835円 | 2,125円 |
30〜44歳 | 7,595円 | |
45〜59歳 | 8,355円 | |
60〜64歳 | 7,177円 |
具体的な基本手当日額
以下では、賃金日額、給付率をもとに、基本手当日額をご紹介いたします。
賃金日額 | 給付率 | 基本手当日額 |
---|---|---|
離職時の年齢が29歳以下 | ||
2,657 円以上 5,030 円未満 | 80% | 2,125 円~4,023 円 |
5,030 円以上 12,380 円以下 | 80%~50% | 4,024 円~6,190 円 |
12,380 円超 13,670 円以下 | 50% | 6,190 円~6,835 円 |
13,670 円(上限額)超 | ー | 6,835 円(上限額) |
離職時の年齢が30〜44歳 | ||
2,657 円以上 5,030 円未満 | 80% | 2,125 円~4,023 円 |
5,030 円以上 12,380 円以下 | 80%~50% | 4,024 円~6,190 円 |
12,380 円超 15,190 円以下 | 50% | 6,190 円~7,595 円 |
15,190 円(上限額)超 | ー | 7,595 円(上限額) |
離職時の年齢が45〜59歳 | ||
2,657 円以上 5,030 円未満 | 80% | 2,125 円~4,023 円 |
5,030 円以上 12,380 円以下 | 80%~50% | 4,024 円~6,190 円 |
12,380 円超 16,710 円以下 | 50% | 6,190 円~8,355 円 |
16,710 円(上限額)超 | ー | 8,355 円(上限額) |
離職時の年齢が60〜64歳 | ||
2,657 円以上 5,030 円未満 | 80% | 2,125 円~4,023 円 |
5,030 円以上 11,120 円以下 | 80%~45% | 4,024 円~5,004 円 |
11,120 円超 15,950 円以下 | 45% | 5,004 円~7,177 円 |
15,950 円(上限額)超 | ー | 7,177 円(上限額) |
引用元: 厚生労働省HP
失業保険をもらうための必要な手続き
それでは、失業保険を受給するまでの一般的な手続の流れについてみていきましょう。
以下のような流れになります。
①退職
通常、退職後10日〜2週間程度で会社から「離職票1、2」が届きます。
正確には、離職日の2日後から10日以内に会社が雇用保険被保険者資格喪失届をハローワークに提出し、ハローワークが離職票を発行し、会社経由で本人に交付されます。
もし、離職票の交付を希望する旨会社に伝えているにもかかわらず、離職日の2日〜10日を経過しても、離職票が手元に届かない場合は、会社に処理状況を確認しましょう。
会社が手続をしない場合や督促しても届かない場合は、身元確認書類、および、退職したことが分かる書類(退職証明書等)を持参の上、自身の住所地を管轄するハローワークへ早めに相談しましょう。
②ハローワークで手続
失業手当を受給するにはまず、自身の住所地を管轄するハローワークへ行き、以下の手続を行います。
- 「離職票」などの必要書類の提出
- 「求職申込書」に記入
- 雇用保険説明会の日時を決定
手続で必要な書類
必要書類は以下のとおりです。
- 離職票1、2
- 雇用保険被保険者証
- マイナンバーカード
マイナンバーカードがない場合は次の<1>および<2>(<2’>)
<1>マイナンバーが確認できる書類(どれか1つ)
通知カード、個人番号の記載のある住民票の写し(住民票記載事項証明書)
<2>身元(実在)確認書類
運転免許証、官公署が発行した身分証明書・資格証明書、住民基本台帳カードなど
※<2>がない場合は次の<2★>
<2★>次のア〜ウのうち、異なる2種類(コピー不可)
ア 国民健康保険被保険者証又は健康保険被保険者証
イ 住民票記載事項証明書(住民票の写しまたは印鑑証明書)
ウ 児童扶養手当証書など - 証明写真(縦3cm×横2.5cmの正面上半身のもの)× 2
- 本人名義の預金通帳又はキャッシュカード(一部指定できない金融機関があります。ゆうちょ銀行は可能です。)
- 印鑑
求職申込書について
求職申込書は、ハローワークのHPでダウンロードすることができますので、事前に準備しておいてもよいでしょう。
離職票を提出し、求職の申込みを行った日が「受給資格決定日」となります。
③待機期間
上述のとおり、「離職票の提出」と「求職の申込み」を行った日から通算して7日間(待機期間)は失業手当は支給されません。
④雇用保険受給説明会への参加
説明会では雇用保険の仕組みや受給の流れ、求職方法等が説明されます。
終了後に「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が渡され、1回目の「失業認定日」が伝えられます。
⑤求職活動
初回の失業認定までに、会社都合退職の場合は1回以上の求職活動を、自己都合退職(一般の離職)の場合2回以上の求職活動を行わなければなりません。
なお、待機期間7日間満了後に行われる雇用保険受給説明会へ参加することで、1回求職活動を行ったとみなされます。
そのため、説明会に参加すれば、会社都合退職の場合、初回認定日までの求職活動は既にクリアしていることになります。
これに対し、自己都合退職(一般の離職)の場合は、雇用保険受給説明会への参加に加え、少なくとも1回は求職活動を行わなければなりません。
⑥失業認定日にハローワークへ行く
初回の「失業認定日」は「受給資格決定日」から約4週間後となりますので、指定された日にハローワークへ行き、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を提出して、失業認定を受けます。
⑦失業手当(基本手当)の受給
失業手当は、失業認定日から通常5営業日後(給付制限期間がある場合は2〜3か月経過後)に指定の口座に振り込まれます。
初回の「失業認定日」から原則として4週間おきに「失業認定日」が指定され、指定された日にハローワークへ行き、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を提出して、失業認定を受けます。
また、2回目以降の「失業認定日」までには、会社都合退職、自己都合退職のいずれの場合も、2回以上の求職活動を行わなければなりません。
失業手当受給中にアルバイトを行ってもいい?
失業手当の受給中のアルバイトは禁止されていません。
しかし、次の3つの点に注意しましょう。
「待機期間」中のアルバイトは避ける
失業手当の申請をした後の待機期間中にアルバイトをすると、受給開始時期が遅くなる可能性がありますので、避けた方が良いでしょう。
「週20時間未満の労働」かつ「同一事業主での雇用見込みを30日以内」にする
「週20時間以上の労働」の場合と、「31日以上の雇用が見込まれる」場合には、雇用保険の加入条件を満たしてしまいます。
すなわち、「就業している」と見なされ、失業保険の受給資格を喪失してしまいます。
アルバイトをする場合、勤務時間には十分注意が必要です。
失業認定日にハローワークへ申告する
アルバイトをした日は失業手当の支給対象とならなかったり、収入額により減額される場合があるため、必ず「失業認定申告書」に記載の上、申告が必要です。
なお、申告をせずに、失業手当を受給した場合は不正受給となり、以降の失業手当の支給が停止するとともに、不正に受給した額の3倍の額の納付を命じられる場合があります。
解雇に納得がいかなければ弁護士に相談
解雇された場合であっても失業手当が支給されるというのは上述の通りですが、そもそも解雇が不当であったとして争うということも考えられます。
労働基準法・労働契約法等の法律の規定や就業規則の規定に違反した解雇のことを、「不当解雇」といいます。
会社による解雇が不当解雇であったと認められれば、解雇は無効となり復職することも可能となります。
なお、不当解雇で争う場合であっても、失業保険の「仮給付」を受けることができます。
失業保険の仮給付とは解雇の有効性を争っている場合に、仮として失業保険を支給する制度です。
ただし、仮給付であるため、解雇が無効となった場合は支給された失業保険を返還しなければなりません。
失業保険の仮給付を受ける手続きは、失業保険と同じようにハローワークで行います。
必要な書類は上述のものと同じですが、加えて解雇の有効性を争っていることを示す書類も必要となります。
解雇の有効性を争っていることを示す書類としては、労働審判申立書や訴状が挙げられます。
解雇の有効性を争う場合、付随して解雇予告手当、退職金の支払い等の法的問題が発生する場合もあります。
解雇が無効となった場合は、解雇以降に就労できなかった期間の賃金等を請求することができます。
このように、解雇された場合には、様々な法的問題が発生するため、解雇に納得がいかない場合は、専門家である弁護士のアドバイスを受けることをお勧めします。
まとめ
以上、失業保険について、詳しく解説しましたが、いかがだったでしょうか。
失業保険は、失業者の生活を支えるために国から支払われるものではありますが、給付日数にも限りがあります。
また退職理由によっては、転職する際に不利に扱われる場合もあります。
そのため、解雇に納得がいかない場合には、専門家である弁護士にご相談されてみることをお勧めしています。
この記事が失業保険、解雇に関してお困りの方にとってお役に立てれば幸いです。