ベトナム人の技能実習生が増えている理由と技能実習生の失踪
ベトナム人の技能実習生が増加しているのはなぜか
この10年間ほどの間にベトナム人の日本での就労者数が急増しています。
これはほとんど、技能実習の在留資格を利用してのものですが、なぜこれほどまでにベトナム人の受入れが進んでいるのでしょうか。
もちろん、ベトナムが国を挙げて、日本の高い技術力を習得した上で母国に戻ってきてもらうことで、ベトナム国内の経済の発展を進めていこうとしているということが挙げられます。
しかしながら、それだけでは、日本側が受け入れを拡大し続ける状況を説明しきれません。
そこには、やはり別の理由もあるのです。
受け入れを拡大し続ける理由
ベトナム人を技能実習生として日本企業が受け入れたい理由の一つが、ベトナム人には勤勉な性格の人が多いということが指摘されています。
実際に、ベトナム人を技能実習生として受け入れている企業からは、「日本人のアルバイトやパートよりもよく働いてくれている」という評価を耳にします。
また、ベトナム人は8割近くが仏教徒といわれており、日本と宗教観が近い民族といえます。
こうしたこともあってか、ベトナム人は比較的温厚な人も多く、コミュニケーションを取りやすいといったメリットも指摘されています。
もちろん、ベトナム人だからといって全てのベトナム人が優秀で勤勉なわけではありません。
何度も何度も一人の人物と面接を繰り返すというのが難しい技能実習生の現地面接で、少しでもその人の人間性をつかもうとする採用担当者の意識も大切になってきます。
失踪の問題
他方で、技能実習生を受け入れていく中で、受け入れた技能実習生が突然、実習先から姿を消し、行方不明になるということが起こることがあります。
いわゆる失踪の問題です。
2018年の上半期では4279人の技能実習生が行方不明になったというデータも報告されています。
失踪の理由は、失踪した外国人本人の声を全員に聞くことでしか完全に把握することは困難ですが、理由としては、日本に来る前に思い描いていた生活ができなかったということや長時間労働などを苦に感じたり、実習先の企業で孤独感を抱いたり、あるいはホームシックになったりといったことが考えられます。
こうした失踪を防ぐためには、管理団体の選定が重要になりますし、現地での面接も日本での生活に耐えうるかの判断資料として有益です。
また、受入後のコミュニティー形成に企業も積極的に関わってあげることで、相談しやすい環境を形成することも重要です。
さて、実際に企業で受け入れている技能実習生が失踪してしまった場合、単に「いなくなった」と管理団体と連絡を取れば足りるわけではありません。
すなわち、警察に捜索願を提出し、失踪して行方不明になったことを公的機関に届け出る必要があります。
その上で、外国人技能実習機構に実習困難時届出をしなければなりません。
また、技能実習生が素行不良などで警察に逮捕されるなどした場合には、管理団体の職員とともに受入企業の従業員や管理者が身元引受人となって、警察に出頭したりしなければならないこともあります。
外国人であるため、親族といった、日本人であれば身元保証人になりうる人が日本国内にいないため、日本での生活を監督している人が身の回りの生活についてもある程度面倒を見てあげる必要があるのです。
こうしたことを防ぐ方策として、パスポートや在留カードを技能実習生から預かっておくということも企業としては考えるかもしれませんが、パスポートや在留カードを企業が預かることは禁止されています(技能実習法48条1項)。
この違反に対しては、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられるリスクがあるので、気をつけなければなりません。
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