勤務時間の書式の書き方・見本一覧【弁護士が解説】
会社は、使用者として従業員の勤怠(遅刻、早退、欠勤等)について、把握する必要があります。
誠実に勤務している従業員と勤怠不良の従業員とでは当然評価に差をつけるべきであり、そのためには勤怠状況を把握できるようにしておく必要があるからです。
従業員の勤務時間については、近年、オンラインでの申請等も行われています。
しかし、勤怠については、あえてその従業員が印刷した用紙を上司に届け出をさせるような運用を行っている企業もあります。
これは、勤怠不良の抑制にも一定程度効果があると考えます。
勤務時間については、労働法上、様々な規制があります。
そこで、年次有給休暇の取得日数や時間外労働を行う場合の届け出など、企業の担当者が押さえておかなければならない書式についてもご紹介しています。
特に、有給休暇に関しては、2019年4月1日以降に10日以上有給休暇が付与される従業員に対して年間5日以上取得させなければなりません。
そのため、有給休暇管理簿で従業員ごとの有給休暇の取得状況を把握し、必要があれば計画年休の導入も検討する必要があります。
計画年休については、従業員に一斉に付与する方法や班別にする方法、個別に付与する方法などがありますので、企業の状況に応じて柔軟に選択してください。
目次
テンプレートのダウンロード
ここでは、勤務時間にまつわる書式を紹介させていただきます。
デイライト法律事務所の労働事件チームは、企業側専門の労務弁護士として、多くの企業や社労士の方からご相談が寄せられています。
労務管理の基本的な書式集の他、労働組合対応、問題社員対応、ハラスメント関連の書式集なども整備しており、労務書式集としては全国最大級のものであると自負しております。
これらはすべて無料でダウンロードが可能ですので、ぜひご活用ください。
ただし、書式の使用は、弁護士が使用する場合、又は、企業の方が自社において使用する場合のみとさせていただきます。
その他の場合、非弁行為(弁護士法違反)等、法令に違反する可能性があるため使用は認めておりません。
なお、書式はあくまでサンプルです。
個々のケースによって、最適な書式の内容は異なりますので、より詳しくは専門家にご相談ください。
ご相談の流れはこちらから。
勤務時間管理については、残業代を請求された場合の対処方法についてのご相談が多く寄せられています。
残業代を請求された場合のポイントについては、こちらのページに詳しく解説しております。
※書式については、その適法性等を保証するものではありません。
遅刻・外出・早退届
本様式は、労働者が遅刻・外出・早退する際の届出であり、勤務時間管理のために使用します。
また、労働時間管理について詳しくはこちらをご覧ください。
欠勤届
本様式は、労働者が会社を休む際の届出です。
労働者が有給休暇を取得していない場合などに使用します。
労働時間管理について詳しくはこちらをご覧ください。
有給休暇取得届
本様式は、労働者が有給休暇を申請する際の届出です。
また有給休暇について、詳しくはこちらをご覧ください。
年次有給休暇管理簿
本様式は、従業員の有給休暇使用状況を把握するための管理簿です。
労働者毎に月別の使用状況や有給休暇の残日数を管理できるようにしています。
また有給休暇について、詳しくはこちらをご覧ください。
年休取得状況管理簿
この書式は、会社が従業員の年休の所得状況を管理するために使用する書式のサンプルです。
働き方改革関連の改正法によって、2019年4月1日以降、年休の日数が10日以上の労働者に対し、毎年5日以上の年休を与えなければならなくなりました(改正労基法39条7項)。
また、会社は、時季、日数及び基準日を労働者ごとに明らかにした書類(年次有給休暇管理簿)を作成し、当該年休を与えた期間中及び当該期間の満了後3年間保存しなければなりません。
さらに、使用者は、年休の時季指定を実施する場合は、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法等について、就業規則に記載しなければなりません。
年5日間の年休を取得させなかった場合や時季指定を行う場合に就業規則に記載していない場合、罰則(30万円以下の罰金)があるので注意が必要です。
年休の改正内容については、こちらのページに詳しい解説を掲載しているので、ぜひご覧ください。
残業・休日勤務届
本様式は、労働者が時間外、休日勤務をする場合の届出です。
残業や休日勤務については、残業代や休日割増手当を目的とした不当な労働がなされる場合もあります。
残業や休日勤務を許可制として、事前の届出を徹底することで、不必要な労働を抑制できます。
労働時間管理について詳しくはこちらをご覧ください。
出勤簿
本様式は、労働者が出退勤時刻や休憩時間等を管理するためのものです。
タイムカードを設置していない会社等で使用してください。
労働時間管理で特に重要なのは、休憩時間を記録することです。
例えば、労働者から残業代を請求された場合、休憩時間が争点となることは非常に多いです。
労働時間管理について詳しくはこちらをご覧ください。
時間外労働・休日労働に関する協定書(36協定)
36協定とは、従業員に法定の労働時間を超えて勤務させる、または法定の休日に勤務させるにあたって、必ず締結し、労働基準監督署に届け出なければならない労務管理の基本中の基本の書式です。
時間外労働がまったくない会社というのは通常考えられませんので、すべての事業所においてこの締結と届出が必要といってよいでしょう。
掲載している様式は、特別条項付のものとなります。
労働時間管理について詳しくはこちらをご覧ください。
一斉休憩の適用除外に関する協定書(交代制の場合)
本様式は、「一斉休憩についての適用除外の協定書」の中で、従業員がグループ別等で交代する場合に使用するサンプルです。
従業員に交代で休憩を取らせることは、多くの会社で見られることです。
しかし、法律上、使用者は、事業所の労働者すべてに一斉に休憩を与えなければならないとされており、労使協定を締結して初めて交代休憩が可能となります(労基法34)。
休憩時間について詳しくはこちらをご覧ください。
一斉休憩についての適用除外の協定書(バラバラの場合)
本様式は、「一斉休憩についての適用除外の協定書」の中で、従業員の休憩時間がバラバラの場合のサンプルです。
従業員の休憩時間が定まっていないのは、多くの会社で見られることです。
しかし、法律上、使用者は、事業所の労働者すべてに一斉に休憩を与えなければならないとされており、労使協定を締結して初めてバラバラでの休憩が可能となります(労基法34)。
休憩時間について詳しくはこちらをご覧ください。
年次有給休暇の計画的付与に関する協定書・一斉付与方式
本様式は、年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定です。
日本の年次有給休暇の消化率は低く、その理由としては、同僚・上司や職場の雰囲気への気が ねが大きいと言われています。
そこで、労基法は、使用者が労使協定を締結することにより、その 協定の定めに従って年休を与えることができると定め、年次有給休暇の取得を促進しています。
この協定書はその一例です。
また有給休暇について、詳しくはこちらをご覧ください。
年次有給休暇の計画的付与に関する協定書・班別付与方式
本様式は、計画年休の労使協定のうち、班(グループ)別に付与する場合の記載例です。
班別の場合、一斉付与と異なり、一定数の人員を確保できます。
事業場に一定数の従業員が必 要な会社にとっては有効な休暇の付与方式といえます。
また有給休暇について、詳しくはこちらをご覧ください。
年次有給休暇の計画的付与に関する協定書・個人別付与方式
本様式は、計画年休の労使協定のうち、個人別に付与する場合の記載例です。
この方式は、一斉付与や班別付与の場合と異なり、従業員側に休暇時季選択の裁量が与えられています。
したがって、会社が従業員の休暇をあらかじめ指定したいという場合は不向きですが、 有給休暇の消化率を高める点では効果が期待できます。
また有給休暇について、詳しくはこちらをご覧ください。
年次有給休暇の時間単位付与に関する協定書
この様式は、時間単位の年次有給休暇を導入するために必要な労使協定のサンプルです。
時間単位の年次有給休暇付与は、有給休暇の消化を促進する効果や、女性が働きやすい職場環境を形成するのに有益です。
時間単位の有給休暇について、詳しくはこちらをご覧ください。
以上、従業員の勤怠状況把握のための書式、年次有給休暇の管理のための書式、時間外労働関連の書式等についてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
人事上の問題は会社側に大きなリスクをもたらす可能性があります。
このホームページでご紹介している情報が企業や弁護士の皆さまのお役に立てれば幸甚です。