弁護士コラム

「すき家」が1167店舗で深夜営業休止!―止まらぬ人材不足

執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

保有資格 / 弁護士・入国管理局申請取次者

すきや深夜営業.jpg牛丼チェーン大手の「すき家」を傘下に持つ、ゼンショーホールディングスは10月から24時間営業を行っていた1867店舗のうちの1167店舗において、午前0時から午前5時までの深夜営業を中止する方針を決定しました。これは実に既存の24時間店舗の6割以上に当たるもので、人材不足が改めて明らかとなりました。

「すき家」を巡っては、従業員の長時間労働はもちろん、深夜の時間帯の店舗運営を一人で行う「ワンオペ」と呼ばれる勤務形態が問題視され、今年に入ってマスコミに大きく取り上げられ、社会的に批判をされていました。 こうした批判を重く受けたゼンショーホールディングスは、地域ごとの分社化を進め、各店舗の実情に沿った労務管理、営業が行えるように対策を講じてきています。それに加え、この春に弁護士を委員長にした第三者委員会を設置し、会社の実情を検証する作業を並行していました。この夏に第三者委員会の報告書がまとめられ、公表されています。報告書では深刻な人材不足が慢性化しており、それに伴って、従業員の長時間残業、サービス残業が多発しているという実態を重大な問題として警鐘を鳴らしていました。

サービス残業代は未払賃金の、長時間残業は近時注目を集めているメンタルヘルスの問題を潜んでいます。メンタルヘルスについては、こちらのページをどうぞ。 今回のゼンショーホールディングスの決定は、先の報告書の結果を深刻に受け止めた上での判断だったと思います。「すき家」はここ数年で店舗数を拡大してきていましたが、こうした戦略も見直さざるを得ないでしょう。

今回の決定を受けて、今後労働環境の改善がなされていくことになると思いますが、これだけ社会問題化してしまった以上、新たな人材の獲得は容易なことではないでしょう。近年は飲食業を始め、各種小売業界では人材不足は大きな課題として叫ばれています。このような中で優秀な人材を獲得するには、労働時間を始めとする人事制度の構築が不可欠です。ユニクロの限定正社員制度もその一つの方策です。

こうした業界の経営者の方々は、今後の動向に注目していく必要があります。

 

 




  

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